医師(HP, Heilpraktiker)について

 

医師(HP, Heilpraktiker)はドイツの医療従事者(国家資格)です。

法的に診察、診断、治療並びに医院の開業が許可されます。

 

医師(HP, Heilpraktiker)はドイツの ハイルプラクティカー法(Heilpraktikergesetz)や

感染症法(Infektionsschutzgesetz)などで以下の禁止事項が厳密に定義されています。

  • レントゲンの使用
  • 特定の感染症の治療
  • 予防接種
  • 麻酔薬の使用
  • 処方箋が必要な特定の薬の使用
  • 中絶手術
  • 分娩(但し緊急時を除く)
  • 死亡証明書の発行
  • 各種証明書(通院時などに職場に提出する証明書など)の発行
  • 医師(Arzt)との協働病院の経営
  • 主に歯の治療などに代表される口腔内の治療
  • 人工授精、去勢手術、クローン作製
  • 病原菌やウィルスの保管、研究

Wikipediaでは「補完代替治療分野に限定した医業免許」と記載がありますが、

不正確な記述であると考えます。

というのも、上記の禁止事項に「補完代替治療分野以外の治療」と記載がありません。

つまり、医師(HP, Heilpraktiker)は「補完代替治療分野以外の治療」を禁じられておらず、従って「補完代替治療分野に限定した医業免許」ではありません。

(個人的には特化したとの表現が適切かと思います)

 

そもそも補完代替治療とはなんでしょうか?

補完代替治療とは造語で通常医療を補完する医療を指します。

日本補完代替医療学会では「現代西洋医学領域において、科学的未検証及び臨床未応用の

医学・医療体系の総称」と定義しています。

例えば以下のような治療になります。

  • 伝統医学(薬草による療法、ユナニ医学、中国医学、漢方、アーユルヴェーダなど)
  • 民間療法(ホメオパシー、瞑想、カイロプラクティック、ロルフィング、ヨガなど)
  • 栄養療法(ビタミン療法、食事療法など)
  • 最先端の治療法(精神療法、物理医学など)

 

正確に述べれば、医師(HP, Heilpraktiker)は上記の禁止事項に相当しない通常治療を実践し、かつ補完代替治療に特化した治療行為を行う者を指します。

通常治療及び補完代替治療を統合した治療を統合治療と呼びますが、

医師(HP, Heilpraktiker)は統合治療を実践する医療従事者とも言えるでしょう。