古来から人体や臓器は、色々なことわざに引用されてきました。
それほど、人体や臓器は私達にとって身近なモノで、なくてはならないモノでした。
さて、ここで皆様に問題です。
人体や臓器の中でも特に大事なモノとされてきたモノは何でしょうか?
答えは、ある言葉に代表されます。
昔から「特に大切なモノ」を指す言葉として、「肝腎要、かんじんかなめ」という言葉が
あります。他にも同意で「肝腎、かんじん」という言葉があります。
答えは、用いられている漢字のとおり、「肝臓」と「腎臓」ですね。
実は現代では「肝心要」や「肝心」とされていますが、語源としては「腎」が古く、
近代になって「心」に統一されたという経緯があります。
ここで、もう一つ、「肝腎要」の「要」ですが、元々は扇をとじあわせる部分を指し、
「締める、大切」という意味があり、「要点、必要」などの言葉に表されます。
この「要」に人体を表す「月、にくづき」を加えると「月」「要」で「腰」となります。
すなわち、「肝臓、腎臓、腰」が私達に特に大切なモノと言えるではないでしょうか。
では、なぜ「肝臓、腎臓、腰」が私達にとって特に大切なモノなのでしょうか?
そこには、大きな理由の一つとして、人体の健康を維持するために必要不可欠な要素、
酸とアルカリのバランスが密接に関わってくるからです。
私達の人体は、恒常的な生体活動により、維持されています。
生体活動とは、活動エネルギーを産生し、また、消費することになります。
多くの場合、活動エネルギーを産生する際には、酸化反応が発生します。
例えば、三大栄養素とされる「タンパク質、脂肪、炭水化物」は呼吸による酸素との
化学反応(例:クエン酸回路)により、最終的にアミノ酸やATP(アデノシン三リン酸
=エネルギーの通貨)が産生されます。
これらの体内の酸化反応により、生じた酸(例:乳酸、尿酸)は人体のシステムにより、
可能な限りリサイクルされようとしますが、余った分やリサイクル不可能なモノは体外に
排出しなければなりません。
排出がうまく働かない場合、例としてリウマチや痛風などの原因となります。
まとめると、私達は活動エネルギーを必要としますが、その際、酸化反応による酸が産生され、生じた酸の不必要な分をリサイクルもしくは排出するメカニズムも必要となります。
したがって、人体の体内では、酸とアルカリのバランスをとる場合、アルカリ⇒酸よりも、
酸⇒アルカリが必要なケースがより多く発生します。
そこで、酸を減らすことで酸とアルカリのバランスを司る臓器が「肝腎」の「肝臓」と
「腎臓」です。
「肝臓」では、例えば乳酸をリサイクルして再度、エネルギーの産生を促し、
「腎臓」では、尿酸などを体外に排出します。(尿のpHは約6.0の酸性)
このように、「肝臓」と「腎臓」は人体の生体活動において特に代替のきかない臓器です。
また、いわゆる「腰」の部分は人体の主要な臓器の多くがあります。
「腰」の痛み、特に安静にしてても痛む場合は胃、十二指腸、胆嚢、膵臓、腎臓などの
臓器に何らかしらの問題がある可能性があります。
また、食物は胃で消化されて酸性の強い状態(pH2~3)ですが、次のステージの十二指腸で膵臓からの膵液と肝臓を経由した胆嚢からの胆汁(共にpH7~9)により、中性(pH7)になります。
ここで、誤解していただきたくない点は、人体における酸が必ず悪いのではありません。
例えば、人体の表面(皮膚)は外部からの保護を目的としていますので、皮脂などに含まれる脂肪酸によるpH4~6の弱酸性で、常在菌の作用により、悪玉菌などから人体を守ります。
胃酸(pH1~2)も、食物の消化のために非常に強い酸になっています。
このように、人体は酸とアルカリのバランスによって発生する働きを上手に利用し、各臓器や各箇所が必要な機能を過不足なく遂行することができるようになっています。
追記:
酸化反応は発熱を伴うので、外部からの熱を管理することで、酸化反応が抑制されたり、
または促進されたりすることにより、酸とアルカリのバランスを取り戻すことに繋がる可能性があるのではと思われます。
したがって、個人の意見ですが、状況に応じて、対応する臓器を温めたり、冷やしたりする「手当て」も治療において一理あるように思われます。